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#1673:焔の月 7日目
(時どき砂に足を取られながら歩く
 心臓が跳ねた拍子に何かが失われてしまったのではないかと思う
(でも私から失われた物事は二度と戻らないから
 私は何も悔やまない
(それきりだ

(夜は鍋を火に掛けながら、数字のことを考える
 特に数字である必要はないが
 数字がもっとも適しているのだ

(たとえば……

(火を大別する

(神の与える火が1
 火の歴史が2

(産業に使われる火は3
 錬金術師の扱う火は4
 人を殺す魔法の火が5
 野菜を煮込む火は6で

(火を謳う音楽は7が聞こえる
 ひ、火、炎――舌に乗せたその名は8

(神そのものの火としての11
 神の化身たる炎は12
 神学の机上で解剖される火は13
 人の心に燃え盛る不可視の14
 呪術師たちはその火に15が与えられていることを知らない

(はじめに火の起こった瞬間は21
 火と共に歩んだ私たちの世界は22
 火刑の23は人の世に親しく
 火によって開かれる未来は24を付されるだろう
 25を考えている最中に鍋が吹き零れそうになる

(意味はない
 形にならない
 世に出ることなど考えもしない

(冗長だ
 まとまりがない
 火だけに数字を割き続けることは出来ない

(文字には表さない
 口に出してはいけない
 私の欲望の火が爆ぜてしまうから

(世界に存在するすべての物事は

(数字に落とし込むことが出来る

(私は世界そのものを理解したような気持ちになる
 この胸は言いようのない昂りに囚われる

(あの世界には
 今も私に分類されることを待っている品があるだろうか
(それとも別の人間が
 私のように数字の虜となってしまったろうか

(私の愉悦

(私はきっと
 愉しみ過ぎたのだな

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